フリージア・マクロス(東証スタンダード市場:6343)は、佐々木ベジ氏率いるフリージアグループの機械メーカーで、樹脂押出機や土木試験機械などを主力事業とする企業です。グループにはスウェーデン式住宅のフリージアハウスや建築資材のフリージアトレーディングなど多岐にわたる関連会社を持ち、佐々木氏は「再生請負人」と呼ばれるほど多数の不振企業の再建に取り組んできました。1991年に佐々木氏が経営権を握った際には、海外事業など非中核業務を断ち切ってコア事業に集中する“配給”構造改革を断行し、累積赤字870億円を2006年までに解消するなど経営再建を達成しています。直近では2026年3月期第1四半期に売上高17.23億円(前年同期比+10.5%)、営業利益3.61億円(+65.0%)と好調な決算を発表しており、堅調な業績推移が続いています。
経営者・戦略:なぜ傘下企業が多いのか
フリージア・マクロスおよびそのグループを率いる佐々木氏は、「再生請負人」として知られ、フリージアグループ傘下に入った再生企業30社以上の経営改善・再建を独力で手掛けてきました。政府やメガバンクの支援に頼らず、労働者を守るために誰も相手にしないほど困難な企業にもあえて参入するのが信条です。このため、株式公開買付(TOB)や第三者割当増資などで中小型・低時価総額の上場企業を次々と支配下に収めています。実際、直近でも婦人服の東京ソワール(8040)やアパレル流通のツカモトコーポ(8025)などに資本注入・出資を拡大しています。傘下企業は株価が低迷していたり業績不振の企業が多く、割安な資産を活用して事業を再構築するモデルが基盤となっています。
フリージア・マクロス傘下企業の一覧
フリージア・マクロス傘下には多様な企業がある。主な関連・子会社は以下のとおりです:
- フリージアハウス(東京都千代田区):スウェーデン式木造住宅の企画・販売。
- フリージアトレーディング(東京都千代田区):建築資材・住宅資材の販売。
- 技研興業(技研ホールディングス)(東京都杉並区):樹脂押出機・各種機械の製造。2015年に第三者割当増資でFMが議決権55.35%を取得。
- 株式会社ピコイ(東京都千代田区):住宅関連工事(断熱・防水・防蟻・地盤改良工事等)。
- 光栄工業(岩手県北上市):ATMケース・金庫などの金属製品製造。
- 株式会社ユタカ(埼玉県所沢市):包装容器・紙製品の製造。
- ユタカフードパック(東京都千代田区):食品用パック容器製造。
- フリージア・オート技研(東京都千代田区):自動車関連部品の製造販売。
- 秋田電子(東京都台東区):電子部品の製造。
- 石油鑿井機製作(茨城県古河市):石油・ガス用掘削機器の製造。
- 株式会社セキサク(東京都千代田区):特殊建材の製造・販売。
- フリージア・アロケートコンサルティング(東京都千代田区):経営コンサルティング。
- 株式会社ケーシー(北海道小樽市):木材製品・建築資材の製造。
- 協和コンサルタンツ(東京都渋谷区):土木・地質調査コンサルティング。
(以上は公式資料・開示からまとめたもので、FMが実質支配下にあると見なせる主なグループ企業です。)
傘下企業の業績・株価動向
傘下・関連企業の中で投資対象として注目されるものについて、傘下化前後の業績・株価動きを整理すると以下の通りです。
- ソレキア(9867): FMは2025年1月に議決権ベースで51.50%→52.10%へと主要株式を取得し(SCB提出資料)支配権を確保しました。ソレキアはITソリューション提供企業で、FM傘下入り後も業績は好調です。2026年3月期第1四半期(4-6月)には連結経常利益1.50億円と前年同期比+24.0%増となり、売上営業利益率も2.1%→3.0%に改善しています。通期予想は横ばいですが、第1四半期時点で前年同期比で大幅増益を達成しており、傘下化後も収益性は堅調に推移しています。
- 技研興業(現技研ホールディングス、1443): 2015年にFMが第三者割当でGiken株を増資引受し、所有比率を55.35%まで引き上げました。その後はグループ内で資本・技術支援を受け、事業を立て直しています。最近期の決算では、売上総利益率約26%、営業利益率約12.7%(前年比+2.5%ポイント増)を計上するなど収益性が改善しています(外部サイト調べ)。直近の株価は安定推移しており、市場からも一定の評価を得ています。
- ラピーヌ(8143): 婦人アパレルメーカー。FMは2020年1月に株式の36.72%を取得し実質支配下に置きました。しかし、グループ化後の業績回復には苦戦しています。2026年2月期第1四半期(4-6月)の売上高は4.78億円(前年同期比▲12.4%)に減少し、営業損失は7,100万円となりました。損失幅は前年より縮小したものの、通期では黒字化見通しは立てられておらず厳しい状況です。株価も低迷しており、2025年8月時点の時価総額は約6.49億円に留まっています。
- 東京ソワール(8040): 婦人フォーマルウェアの老舗。FMは2021年4月以降、筆頭株主として敵対的TOBを仕掛けましたが、取締役会の買収防衛策(ポイズンピル)などで提案はすべて否決され、最終的には買付けを断念しました(外部報道)。業績面でも百貨店向け需要の低迷で苦戦が続いており、傘下化は実現していません。株価はTOB期待で急騰した後に反落し、低迷しています。
- ツカモトコーポレーション(8025): 靴下等の小売卸売企業。FMは2025年5月に持ち株比率を16.28%から17.33%へと引き上げました。完全子会社化は未定ですが、大口出資による資本・経営への関与が進んでいます。業績は比較的安定しており、株価もここ数年はおおむね底値圏で推移しています。
上記のほか、FMグループ傘下には民事再生やM&Aで取り込まれた中小非上場企業が多数存在します。投資対象として見る場合、業績好調な例としては傘下後に営業増益を続けるソレキアや、技研興業のように再建に成功した企業が挙げられます。一方、苦戦例としてはラピーヌや東京ソワール(期待先行で買収に失敗)のように収益改善が遅れる銘柄が目立ちます。一般に、FM傘下入り前後で株価が大きく変動したケースは、グループ入り発表による材料出尽くし後に業績が伴わず下落する例が多い一方で、着実に利益を伸ばす企業の株価は比較的安定しています。時価総額の面でも、FMが狙う企業は小型~中型株が中心です。例えば、ラピーヌは数億~10億円程度の時価総額(2025年現在約6.5億円)で、東京ソワールも10億円台と低い水準にあります。これは、割安な企業をグループ入りさせて事業価値を引き上げる同社のM&A戦略を表しています。
傘下企業の独自特徴
フリージア・マクロス傘下の事業会社には共通して「低い株主還元」が見られます。前述の通りFM自身の配当性向は極めて低く約3%(配当利回り0.5%程度)にとどまり、ラピーヌなどは無配が続いています。これは利益を内部留保して債務圧縮や次のM&A資金に回す経営姿勢を示しており、株主への短期的還元よりも長期的成長を重視しています。また、FMグループは一般に借入依存度も低く、自己資本で事業再生を図る方針です。このように、低配当・自己資本重視の経営はフリージア傘下企業の特徴の一つといえます。
以上まとめると、フリージア・マクロスは「中小・低時価総額企業の再生」を事業機会とする特殊なホールディング企業です。佐々木会長の独特な経営手法により、傘下企業の業績には明暗が分かれるものの、全体としてグループ内資本で再建を進めるスタイルが貫かれています。今後の株価動向は、個々の傘下会社の業績回復ペースや事業シナジーの創出状況に左右されると見られます。

