仮想通貨関連ビジネスに踏み切った日本の上場企業
日本では、2017年頃の第一次仮想通貨ブーム時にも大企業(GMOやSBIなど)が取引所開設やマイニング事業に参入しましたが、株式市場で大きな話題となったのは最近の傾向です。特に2024年~2025年にかけて、「自社でビットコインを購入・保有する」と公表する企業が急増し、その発表が株価急騰につながるケースも目立っています。以下、日本の主な事例を個別に見ていきましょう。
メタプラネット (3350) – “アジア版マイクロストラテジー”を目指すBTC投資会社
- 関与状況: フル転換型 – 本業のWeb3関連事業よりも財務戦略としてのビットコイン投資を前面に打ち出しています。
- 事業内容: Web3関連サービスやIR支援事業を営む一方、2024年に「ビットコインを主要財務資産とする」方針を宣言。以降、新株予約権発行などで資金調達し、継続的にBTCを追加取得しています。
- 財務状況: 元々小規模企業でしたが、仮想通貨投資戦略の注目により株式時価総額は急拡大。【2024年末時点の株価は16円から347円へと上昇し、時価総額500億円超の企業で株価上昇率1位】となりました。2025年7月時点の株価は1,564円に達しています。売上規模は小さいものの、増資による潤沢な資金をBTC購入に充てており財務体質が特殊です。
- 保有仮想通貨: 1万3,350BTC(2025年6月時点)を保有。これは約1,913億円に相当し、日本企業では断トツの保有量です。「2027年までに21万BTC保有を目指す」と宣言しており、今後も積極買い増し予定です。
- 時価総額比率: BTC保有額1,913億円は、同社の時価総額約9,130億円に対して約20%相当になります。まさに資産の相当部分がビットコインにレバレッジされた状態です。
- 株価推移・市場反応: ビットコイン投資開始の発表以降、株価はわずか1年半で約8,300%の高騰を記録しました。市場では「メタプラネット株=間接的なビットコイン投資」と認識され、BTC価格に連動して株価も乱高下するボラティリティの高い銘柄となっています。2024年にはBTC暴落直後に株価ストップ安も経験しており、リスクの高さも顕在化しました。
- 投資家タイプ: 超投機的。企業というより仮想通貨ETFに近い値動きをするため、ビットコインの値上がり益を狙う短期筋やリスク許容度の高い投資家向きです。一方で本業収益は小さく、BTC価格下落時の下値リスクが大きい点に注意が必要です。
リミックスポイント (3825) – エネルギー企業から暗号資産投資企業へ
- 関与状況: 一部参入型(事業転換) – 元々は電力小売・省エネコンサルなどを手掛けていましたが、近年は仮想通貨関連を新たな柱に据えつつあります。
- 事業内容: エネルギー事業に加え、2024年9月にキャッシュマネジメント戦略の一環として暗号資産投資を開始。BTCだけでなくイーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)など複数の仮想通貨を取得し、総額約15億円分を保有すると発表しました。以降も継続的に買増しを行い、「累計1,000BTC以上の取得を目指す」方針です。
- 財務状況: 2024年3月期は売上高211億円(前期比+3.1%)に対し、経常損失5.4億円と赤字でした。主因は同年11月に新設した暗号資産事業セグメントの立上げ費用等によるものと報じられています。ただ2025年3月期は、仮想通貨高騰の追い風で売上高過去最高・経常利益92億円の黒字転換計画を掲げています。自己資本比率は約18~19%で財務基盤は強固ではなく、暗号資産頼みの成長戦略にはリスクもあります。
- 保有仮想通貨: 約758 BTC(2025年6月時点)をはじめ、ETHやSOLなど複数の暗号資産を保有しています。取得総額は15億円規模で、6月時点のBTC評価額だけでも約115億円に達します。
- 時価総額比率: BTC等暗号資産の評価額合計は推定で100億円超となり、時価総額約623億円の約18%に相当します。かなり高い割合で仮想通貨にレバレッジがかかった企業と言えます。
- 株価推移・市場反応: 2024年9月に仮想通貨保有を宣言後、株価は急騰しました。2024年後半から2025年初にかけては、ビットコイン相場上昇に乗って5倍以上に上昇しましたが、その後は調整で乱高下しています。市場はメタプラネットの再来のような値動きを期待する向きもあり注目されています。BTC価格に株価が連動しやすく、ボラティリティの高い動きとなっています。
- 投資家タイプ: 投機~短期志向。仮想通貨投資で業績拡大を狙う企業のため、暗号資産相場に敏感に反応するハイリスク銘柄です。他方、本業の電力ビジネスなど実体も残っているため倒産リスクは低めですが、値動きはかなり激しく短期売買向きと言えます。
マックハウス (7603) – 衣料品チェーンから暗号資産マイニング企業へ
概要・本業と参入経緯: マックハウスは全国展開の衣料品チェーンですが、2025年に入って暗号資産事業へ本格転換する大胆な戦略を打ち出しました。既存のアパレル小売業の枠を超え中長期的な企業価値向上を目指すため、暗号資産分野に本業並みの力を注ぐことを表明し、従来の衣料品販売から暗号資産マイニング・投資企業への転身を図っています。参入背景には、米国でのビットコインETF承認や機関投資家マネー流入など市場環境の変化を捉え、成長著しい暗号資産領域に活路を求める狙いがあります。衣料品業界の低迷や同社の業績不振もあり、新たな収益源として暗号資産事業に活路を見出した形です。
事業内容: マックハウスの暗号資産戦略は、ビットコイン(BTC)など主要コインの「購入・保有」と、自社での「マイニング(発掘)」を両輪とするハイブリッド型である点が特徴です。まずビットコインの自社保有(トレジャリー戦略)として、2025年6月には最大約17.15億円を調達資金からBTC購入に充当する計画を発表し、同年7月には1000BTC以上の取得目標を掲げる大規模なビットコイン投資戦略を打ち出しました。取得方法は一括投資と定期積立(ドルコスト平均法)の組み合わせで、価格変動リスクを抑えつつ長期的な取得を進めるとしています。加えてビットコインマイニング事業にも参入し、国内トップシェアのマイニング企業ゼロフィールド社と包括提携を締結しました。ゼロフィールドが保有する国内外データセンターで効率的に採掘を行い、新規ビットコイン獲得による収益源とする計画です。このように、「買う+掘る」の二本柱で継続的にBTC資産を積み上げ、中長期の収益機会最大化と価格変動リスクの低減を図る独自戦略を掲げています。将来的にはNFT事業やブロックチェーンサービスへの展開も視野に入れており、自社ECや店舗へのビットコイン決済導入、NFTによるコンテンツ展開などWeb3領域への進出も検討しています。このほか、暗号資産運用の専門部署「デジタル資産運用グループ」を新設し、社内体制も整備しています。
財務状況: 2025年2月期の連結業績は売上高131億円で前年比▲14.9%、営業利益▲12.13億円(赤字拡大)、当期純利益▲14.72億円と大幅赤字でした。アパレル事業不振で2期連続の最終赤字となり、自己資本比率も16.9%と前期の32.3%から半減しています。総資産73億円に対し純資産12.34億円まで目減りし財務基盤は弱体化していました。このため同社は2025年6月に新株予約権発行で資金調達を行い、暗号資産投資資金に充てています。調達後は自己資本の補強とBTC取得資金確保を図っています。財務面では依然厳しい状況ですが、暗号資産事業を“成長エンジン”として赤字からのターンアラウンドを目指す構えです。
保有仮想通貨規模: マックハウスは今後の段階的なBTC買い増しで1000BTC超の保有を計画しています。これは現在の時価で数十億円規模に上り、同社の時価総額(約81億円)の数割から場合によっては100%以上に相当する可能性があります。実際に同社はまず最大17億円強でのBTC取得を決議済みで、7月時点で取得済みBTCは明らかでないものの、もし全額を投じれば現在の株式時価総額比で約20%強に及びます(BTC相場次第ではさらに上昇)。将来的に目標通り1000BTC以上を保有すれば、株式時価総額に匹敵する価値の暗号資産を抱える計算になり、企業価値の構成に占める仮想通貨の比率は極めて高くなるでしょう。つまり同社株は実質的にビットコイン価格連動の性質を強めつつあります。
株価動向: 仮想通貨事業への大転換表明を受け、マックハウス株価は今年急騰しました。特に2025年6月12日に「ビットコイン購入事業開始」の一報を出した直後からわずか数日で株価4.6倍に急騰したとの報道もあり、市場の短期資金が殺到しました。その後もBTC大量購入やマイニング参入の発表が材料視され、年初来で株価は2倍以上になる局面も見られています。7月10日の1000BTC取得戦略公表時にも株価は取引中に急伸し一時前日比+19%の急騰を記録しました。ただし足元では変動が激しく、暗号資産相場や資金調達動向に大きく左右される展開です。
投資家適性: マックハウスはビットコイン高騰の恩恵を狙う投機色の強い銘柄と言えます。ビジネスモデル自体が衣料品販売から暗号資産保有・採掘へ大きくシフトし、収益はビットコイン相場に連動する部分が大きくなります。株価も思惑で乱高下しやすく、短期の値幅取りを狙う投資家や暗号資産に強気な投資家に好まれやすいでしょう。一方で本業の収益基盤が脆弱で財務体質も弱い点から、中長期の安定成長を重視する投資家にはリスクが高い企業です。短期~中期の値上がり益を狙う投機型・ハイリスク許容型の投資家向きであり、ビットコインのボラティリティに企業価値が直結する点を踏まえた慎重な見極めが必要です。
エス・サイエンス (5721) – 老舗非鉄金属会社のビットコイン転身
概要・本業と参入経緯: エス・サイエンスは1946年創業の老舗企業で、ニッケル製品の販売や教育、不動産事業などを営んできました。かつての社名は山陽特殊製鋼などで、現在も非鉄金属セクターに分類されています。しかし近年本業の規模縮小で業績は低迷し、売上高は年間数億円規模に過ぎません。そうした中、2025年3月に暗号資産(ビットコイン)投資事業への参入を発表し、大胆な事業転換に乗り出しました。同社は7月から新たに暗号資産投資事業を開始し、ビットコインを財務準備資産(Treasury)として保有する方針です。この決定には、インフレヘッジや長期的価値保存手段としてBTCを活用する狙いがあり、時代の変化に対応して企業価値向上を図る構えです。老舗金属企業がビットコインに舵を切る異色の動きは、市場でも大きな注目を集めました。
事業内容: エス・サイエンスの暗号資産事業は、まず財務戦略としてのビットコイン現物保有が柱になります。同社は円建て資産に加えBTCを準備資産として組み入れ、インフレや通貨価値下落に備える方針を掲げました。「デジタルゴールド」であるビットコインの価値に着目し、長期的な価値保存資産として保有する戦略です。具体的な投資額は明示されていませんが、株主総会での新規事業目的追加承認を条件に7月より段階的準備を進めるとしています。財務戦略としてのBTC保有にとどまらず、今後はブロックチェーン技術を活用したサービス開発にも意欲を示しています。同社サイトのクリプト事業部ページによれば、暗号資産投資のほかに「NFTマーケットプレイスの構築・運営」「ブロックチェーンを活用したサービス開発」「スタートアップ通貨(トークン)への投資」「企業向けブロックチェーン導入コンサル」等、4つの事業領域を掲げています。これは単にBTCを持つだけでなく、ブロックチェーン関連の開発・支援ビジネスにも乗り出す意向を示すものです。もっとも現時点で具体的実績はなく、まずはビットコインの購入・運用を開始し、外部の暗号資産専門アドバイザーと連携しながら事業を進める計画です。将来的に市場環境や規制動向を見極めつつ、NFTやトークン発行事業などへの展開も視野に入れるとのことです。要するに、企業としての資産運用方針の一環に暗号資産を組み込み、さらに関連テクノロジーで新規事業創出を模索する戦略と言えます。
財務状況: エス・サイエンスは極めて小規模な業績と財務です。直近期の売上高は約6億円に過ぎず、経常利益も数百万円~赤字という水準で推移しています。2024年3月期も本業はほぼ収支トントンと見られ、事業会社というより持ち資産を細々と運用している状態でした。自己資本比率は95%前後と極めて高いものの、純資産額は28.7億円程度(総資産30億円弱)と小さく、資本金1億円・有利子負債ゼロというミニ企業です。一方、2025年3月に仮想通貨事業参入を発表すると株価が急騰し、時価総額は20億円規模から一気に200億円超まで膨張しました。これは実体純資産の10倍近い評価となり、株式時価総額>>純資産という状況です。言い換えれば、マーケットは同社の仮想通貨事業による将来価値に大きなプレミアムを織り込み始めています。ただ財務上は現段階で投資余力も乏しく、仮想通貨事業拡大には追加の資金調達(増資など)が不可欠でしょう。極端に低い収益規模ゆえ、暗号資産価格変動による評価損益が業績を大きく左右する可能性もあります。
保有仮想通貨規模: エス・サイエンスは2025年7月以降にビットコイン取得を開始予定ですが、具体的な数量や金額はまだ公表されていません。仮に手元資金や一部資産を充当して数億円規模のBTCを取得するとしても、同社の時価総額(直近約210億円)に対する比率は数%程度に留まります。しかし市場は「第二のメタプラネットになるか?」との期待から、より大規模なBTC投資を織り込んでいる節があります。実際、一部報道では「株価1ヶ月で+340%高騰」として、メタプラネットになぞらえた論調も見られました。メタプラネットは後述するように数千~万BTC単位を保有しており、仮にエス・サイエンスも大規模調達でそれに迫る量を購入すれば、時価総額を上回る暗号資産を抱える可能性も出てきます。ただ現時点では具体的保有量不明であり、株価上昇は期待先行です。保有額が判明すれば、「暗号資産時価/時価総額」比率も株式市場の評価修正を伴って変動するでしょう。当面は数%~十数%程度の範囲からスタートすると推測されます。
株価動向: エス・サイエンスの株価は仮想通貨事業参入表明によって典型的な急騰劇を演じました。2025年3月17日の発表翌日から個人投資家の買いが殺到し、株価は連日ストップ高の買い気配となりました。3月中旬にはわずか数営業日で株価が3倍以上に跳ね上がり、以降も高値圏で推移しています。7月時点の株価は発表前の4~5倍水準を維持しており、出来高も急増しました。これはビットコイン価格の史上最高値更新(2025年6~7月にBTCは1BTC=1000万円超まで上昇)と相まって、純粋な思惑買いが集中したためです。一方、具体的なBTC購入が始まっていない段階での急騰であり、その後は材料出尽くし感から乱高下も見られます。5月以降は数日にわたりストップ安をつける場面もあり、仕手的色彩を帯びています。総じて、わずかなIR一つで天井・底をつける極めて投機的な値動きが続いており、事業実態よりもマーケットのセンチメントが株価を決めている状況です。
投資家適性: エス・サイエンスは超短期志向の投機筋向けと言えます。企業の本業収益はほぼゼロに近く、現在の株価水準は将来の仮想通貨資産価値への期待だけで成り立っています。業績と乖離した株価は安定性を欠き、値幅取りを狙うデイトレーダーやリスク許容度の高い投資家以外には手を出しづらいでしょう。逆に、ビットコイン価格上昇局面では最も値動きが大きくなるハイベータ銘柄でもあり、うまく波に乗れれば大きなリターンも望めます。いわば「日本版ビットコイン純粋株」の様相で、短期の値ざや狙い・ハイリスク投資に適しています。中長期投資家にとっては、実業の裏付けが薄い分ボラティリティが過大で、慎重な判断が求められます。
gumi (3903) – ゲーム開発からブロックチェーン事業へ傾注
概要・本業と参入経緯: gumiはスマホ向けソーシャルゲーム開発で成長した企業ですが、近年はブロックチェーン・暗号資産関連事業に経営資源を大きくシフトしています。モバイルゲーム事業の伸び悩みや大型タイトルの不振により2024年4月期に約59億円もの最終赤字を計上したことから、収益回復策として将来性の高いブロックチェーン領域に「より一層の経営リソースを投入」する方針が打ち出されました。実際、ゲーム事業の損失が拡大する一方でブロックチェーン事業は好調で、同事業を会社の成長ドライバーと位置付ける動きが鮮明です。また同社は2022年末にSBIホールディングスやスクウェア・エニックスから約70億円の出資を受け業務提携しており、国内大手金融・ゲーム企業との提携を軸にWeb3領域で事業拡大を図っています。
事業内容: gumiの仮想通貨・ブロックチェーン関連事業は多岐にわたります。同社は事業ポートフォリオを「モバイルオンラインゲーム事業」と「ブロックチェーン等事業」の2本柱と位置付けており、後者に属する暗号資産・Web3領域で以下のような活動を展開中です。
- ブロックチェーンゲーム開発・NFT: スクウェア・エニックスと提携しブロックチェーンゲームの共同開発・配信を推進。自社IP「ファントム オブ キル」のブロックチェーンゲーム版(ファンキルオルタナ)をリリースし、ゲーム内トークン「OSHI」を発行。このOSHIトークンは国内取引所ビットポイントに上場し、一時時価総額100億円規模まで上昇する成功を収めました。同プロジェクトはユーザー熱狂を得て順調で、OSHI保有分の売上計上も開始しています。今後も自社ゲームと連携したNFT・トークン発行を順次行い、新たな収益源とする計画です。
- ノード運用・ステーキング: gumiはシンガポール子会社を通じ、イーサリアムやCosmos、Avalanche、Sui等のブロックチェーンでバリデータノード運営(ステーキング事業)を展開しています。これにより22.2億円相当の暗号資産を運用し、年間約2億円のステーキング報酬を得ていると報告されています。自社保有コイン(ETHやATOM等)を活用した安定収益モデルであり、今後も運用元本の拡大を図る方針です。
- 暗号資産ファンド・投資: 米国に拠点を置くVCファンド「gumi Cryptos Capital(gCC)」を通じて世界中のブロックチェーン関連プロジェクトに投資しています。自社もGPとして参画するgCC Fund 1・2では累計200億円超を運用し、既にFund1は回収フェーズに入り約63億円がgumiに帰属見込みとされます。Fund2も1.1億ドル規模で約47件に投資中。さらに2023年には前澤友作氏のMZ CryptosやSBI、アニモカと共同でWeb3特化ファンド「DECIMA」を立ち上げるなど、外部資金も巻き込み積極的なスタートアップ投資を行っています。暗号資産そのものへの直接投資も開始しており、2025年2月には自社で約10億円分のBTC購入を決議するなど、トレジャリーとしての暗号資産保有にも踏み出しています。
- その他 Web3関連: ブロックチェーン技術を活用したファンコミュニティプラットフォーム「OSHI³(推し^3)」を運営し、NFTやトークンで新たなエンタメ体験を提供。またSBIとの提携に基づき、ゲーム内トークンをSBI VCトレード等の取引所に上場させるノウハウ連携、ゲームIPを裏付け資産としたセキュリティトークンの発行検討など、金融商品開発やブロックチェーンプラットフォーム構築にも乗り出しています。さらに海外有力プロジェクト(例:Layer1「XPLA」やL1「Sui」)のノード運営参加、ウォレット事業への出資など、Web3エコシステムの幅広い分野に関与しています。
財務状況: 2024年4月期の連結業績は売上高89億円規模ながら、前述のとおり約59億円の最終赤字に転落しました。不採算ゲームタイトルの開発費や減損で大きな損失を計上し、同年6月には約80名の希望退職募集も実施しています。一方でブロックチェーン等事業は好調で、2024年4月には単月黒字化を達成したとされています。ゲーム不振による大量赤字で自己資本比率は一時低下しましたが、SBIやスクエニからの資本増強(第三者割当増資で約70億円調達)により2023年以降は財務基盤が強化され、直近期の自己資本比率は約70%と高水準です。同増資によりSBIが22%の筆頭株主となり、gumiはSBIの持分法適用会社となっています。資金面では提携先からの潤沢な出資を受けつつ、暗号資産関連事業で収益創出が進み始めており、2025年4月期以降はブロックチェーン事業が赤字脱却のカギとなっています。
保有仮想通貨規模: gumiは自社発行のOSHIトークンやノード運用用の各種コインなど複数の暗号資産を保有しています。具体的には、4月末時点でOSHIトークンの時価総額が約60億円(ピーク時100億円)に達したとされ、同社も相当量を保有していると見られます。またイーサリアムやSui等のノード運用に使われる保有コインの残高は22.2億円にのぼります。これらの暗号資産の評価額合計は少なくとも数十億円規模で、時価総額約300億円前後の同社にとっては10%台後半程度の比率と推定できます(価格変動により上下)。さらに同社は今後最大10億円規模でのビットコイン直接購入も計画しており、実行されれば暗号資産保有額は一段と積み増されます。もっともgumiの場合、暗号資産はあくまで事業推進の手段(ゲーム内通貨や運用資産)であり、次項の企業群のように資産保有それ自体が目的化しているわけではありません。そのため保有時価/企業時価総額の比率は数十%程度に留まり、暗号資産価格が同社株価に与える影響も比較的限定的と考えられます。ただし今後さらなるトークン発行・ファンド回収などで暗号資産関連収入が増えれば、収益と連動して企業価値への寄与も高まるでしょう。
株価動向: gumi株は暗号資産事業への期待とゲーム事業の業績に挟まれ、ここ1~2年は乱高下がみられます。2022年末のSBI・スクエニからの大型出資発表時には株価が一時急騰しました(発行価格708円に対し一時860円超まで上昇)。しかし2024年6月の59億円赤字発表時には一時下落する場面もありました。その後はOSHIトークン上場やファンド回収による収益期待から持ち直し、2025年にかけて600~800円前後で推移しています。今年前半にはビットコイン価格上昇を追い風に年初来高値を更新したとの報道もあり、暗号資産関連のポジティブニュースが株価押上げ材料となる局面が散見されます。一方でゲーム事業の不振が完全に解消したわけではなく、暗号資産事業もまだ収益貢献は限定的なため、大幅な株価トレンドには至っていません。全体として提携・開発進捗や暗号資産相場に応じて上下するレンジ内の動きが続いています。
投資家適性: gumiは中長期の成長期待型の投資家に向いた側面があります。暗号資産・ブロックチェーン事業は有望分野であり、大手企業との連携やファンド収益により将来的な業績拡大が期待できるためです。特にスクエニとの協業やSBIからの支援を受けている点は信頼材料で、Web3領域の成長を取り込みたい投資家には魅力的でしょう。一方で主力ゲームの不振や大幅赤字計上もあったように事業リスクは高く、株価もボラティリティが大きめです。暗号資産価格にも一定程度影響されるため、安定性を重視する投資スタンスには合わないかもしれません。総合すると、将来のWeb3ビジネス拡大に賭ける成長志向の投資家や、暗号資産関連企業へ分散投資したい投資家に適しており、短期の思惑より企業価値向上を腰を据えて待てるタイプが望ましいでしょう。
ANAPホールディングス (3189) – アパレル小売から仮想通貨投資への新展開
- 関与状況: 一部参入型(事業多角化) – 若者向けファッションブランド「ANAP」を展開する企業が、新たに仮想通貨投資を事業の軸に追加しました。
- 事業内容: 2025年2月に連結子会社「ANAPライトニングキャピタル」を設立し、複数回にわたりビットコインを購入。本業のアパレル販売はコロナ禍以降低迷しており、新機軸として暗号資産への資産運用に活路を見出そうとしています。
- 財務状況: 2023年8月期の売上高は約40億円、経常利益は0.3億円と小規模です。自己資本比率は約50%と平均的。アパレル事業はEC強化など立て直し中で、仮想通貨投資が収益貢献策として注目されています。
- 保有仮想通貨: 102.9 BTC(約15億円相当)を2025年6月時点で保有しています。例えば2025年5月28日には約2.4億円で15.2 BTCを追加取得するなど、数回に分けて購入を重ねています。現状ビットコイン以外の保有は明らかにしていません。
- 時価総額比率: BTC保有額約15億円は、時価総額約185億円の約8%に相当します。まだ保有を始めたばかりで割合は限定的ですが、今後の追加購入次第では比率が高まる可能性があります。
- 株価推移・市場反応: 2025年に入ってBTC購入開始を発表して以降、株価は機敏に反応しています。特に2025年5月末に立て続けにBTC追加購入を発表すると、株価も大きく上昇しました。ビットコイン戦略が材料視され、市場から好意的に捉えられていることがうかがえます。ただし発表直後の物色による上昇であり、中長期的には同社のファッション事業の復調も必要でしょう。
- 投資家タイプ: 短期~中期の成長投資家向け。仮想通貨投資という話題性で株価上昇を狙う側面が強く、投機的な魅力があります。一方、本業回復への期待も込めて中期保有する投資家も見られます。リスク許容度が高く、企業再生と暗号資産双方に期待する投資家に適しています。
バリュークリエイション (9238) – DX企業のビットコイン財務戦略
- 関与状況: 一部参入型(財務投資) – マーケティング支援やDXコンサルを営む企業が、余剰資金の運用としてBTC保有を開始しました。
- 事業内容: 企業のデジタルトランスフォーメーション支援などが本業。2025年3月に「デジタルゴールドとしての価値や機関投資家の支持の高まり」を理由にビットコイン購入開始を発表。以降、複数回追加購入し保有を拡大しています。
- 財務状況: 売上高は数十億円規模、営業利益は数億円程度(直近期で赤字転落)。自己資本比率は約30%台とやや低め。ビットコイン購入は「有効な余資運用策」と説明されており、本業の伸び悩みを補う狙いがありそうです。
- 保有仮想通貨: 30.38 BTCを2025年6月時点で保有(総額約4.6億円)。この他の仮想通貨保有は公表していません。
- 時価総額比率: BTC保有額約4.6億円は、時価総額約29.9億円の約15%に相当します。財務に占めるBTC依存度が比較的高い部類です。
- 株価推移・市場反応: 2025年3月のBTC購入発表以降、株価は激しい乱高下を繰り返しています。ビットコイン取得が注目を集めた結果、ボラティリティが大きくなっていると分析されています。短期間で急騰・急落を繰り返し、投資家の思惑が錯綜する展開です。
- 投資家タイプ: 投機的。企業の基礎体力が盤石でない中で仮想通貨に賭けている面があり、短期でボラティリティを狙う投資家向きです。安定志向の投資家には不向きですが、逆に言えば少額で大きな値動きを取りたい人には魅力的な素材でしょう。
AIフュージョンキャピタル・グループ (254A) – AI×暗号資産のハイブリッド投資会社
概要・本業と参入経緯: AIフュージョンキャピタル・グループ株式会社(以下AIF)は、AI(人工知能)を軸とした投資事業を掲げ2024年10月に上場した新興企業です。クラウドサービス企業や青果卸売会社への出資・買収など幅広い投資活動を行い、事業持株会社としての側面を持っています。そのAIFが2025年1月に暗号資産投資事業へ参入し、以降本格的な拡大を図っています。背景には、AI分野だけでなくWeb3・暗号資産分野にも成長機会を求めた経営判断がありました。既存事業の「AI革命1.0計画」をアップデートし、暗号資産投資事業の開始や子会社化(後述)を踏まえて中期事業計画を刷新するなど、経営戦略上も暗号資産領域を重要な柱と位置付けています。AIと暗号資産の融合によるシナジー創出(例えばフィンテック領域)も志向しており、社名の「AI FUSION」に象徴されるようにテクノロジー投資の複合体として企業価値1000億円を目標に掲げています。
事業内容: AIFの暗号資産関連事業は多面的です。同社は暗号資産そのものへの投資・運用と、暗号資産ビジネスの支援・展開の両面からアプローチしています。具体的には次のとおりです。
- ビットコイン投資・トレジャリー: AIFは2025年3月からビットコイン現物への投資を開始し、4月時点で約3億円を投じ24.6345BTCを取得しました。これは平均取得単価約12百万円/BTC(当時)で、既に相応の含み益が出ています。今後も中長期目線でBTCを買い増しする方針で、決して短期売買は行わず、暗号資産の中長期優位性を評価して継続投資すると強調しています。2025年7月には追加で2億円分のBTC購入も発表しており、最終的には約30億円規模を暗号資産投資に充てる計画です。この資金原資として、2025年3月末にEVO FUND等との間で最大30億円の新株予約権発行による資金調達契約を締結しました。調達資金は全額暗号資産投資に充当予定とされ、実行済みの3億円に加え今後順次ビットコイン等を取得していく見込みです。つまり、AIFは企業トレジャリー戦略としてビットコインを長期保有する立場であり、2025年以降の財務に占める暗号資産比率が高まっていくと予想されます。
- 暗号資産運用・レンディング事業: 取得したビットコイン等の保有資産を運用して収益化する事業も展開します。同社子会社のミライコイン株式会社を通じて、2026年3月期から「暗号資産の運用」および「暗号資産レンディング(貸出)事業」を開始予定です。具体的には、保有するBTC等を用いたレンディングサービスを展開し金利収入を得るモデルと考えられます。暗号資産レンディングは銀行預金に似たスキームで、借り手に貸し出すことで利息収入を得るものです。同社は既に国内大手の暗号資産交換業者であるOKCoin Japan(OKJ)と提携しており、OKJからノウハウ提供や顧客紹介などの協力を得つつ、安全なレンディング事業を立ち上げる狙いです。さらに、運用ビジネスとして投資事業有限責任組合(LPS)を通じた暗号資産投資にも着手するとしています。これはファンド組成により暗号資産関連プロジェクトへ出資する仕組みで、AIFがLP出資者として参加しつつ外部資金を集めて収益機会を拡大する戦略と見られます。
- 暗号資産交換業・IEO事業: AIFは2025年5月、ブロックチェーン関連コンサル企業で暗号資産交換業者登録申請中の「株式会社エデン」を子会社化すると発表しました。エデンは現在、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の第二種会員審査中で、登録後はプロ投資家向けのトークン販売・IEO(Initial Exchange Offering)事業を展開予定です。AIFはまず1000万円でエデン株式33.3%を取得し、正式に交換業登録完了後に残り66.7%を2.9億円で追加取得する段階契約を結んでいます。この買収によりAIFは将来、自社グループ内に暗号資産取引所(プロ向け)を保有し、IEOプラットフォーム事業に参入する計画です。IEOは有望なブロックチェーン企業が取引所を通じてトークン発行・資金調達するスキームで、国内では事例が少なく新市場の開拓余地があります。AIFは自社が投資するスタートアップ等のトークン発行も視野に、暗号資産金融プラットフォーム事業者になろうとしていると言えるでしょう。なおエデンの本登録は審査遅延により2025年中頃にずれ込んでいますが、計画自体は進行中です。
- 株主優待への暗号資産活用: AIFは2025年より株主優待として暗号資産を配布する国内初の試みも発表しました。具体的な銘柄や配布量は未定ながら、ブロックチェーン時代を見据えたユニークな優待策として注目されています。この施策には提携先のOKCoin Japanが全面協力し、交換業者として技術・運営支援を行うとしています。株主は指定された暗号資産ウォレットを通じ優待コインを受け取る仕組みになる見込みです。これにより、従来のポイントや自社商品券に代わり暗号資産を株主還元に用いる例として注目され、同社の先進性アピールに貢献しています。OKJとの提携内容には他にも「Web3技術活用の共同研究」「暗号資産投資事業に関する情報共有」「市場動向の調査・協力」等が含まれ、優待以外でも幅広い協業関係を築いています。
以上のように、AIFの暗号資産事業は自社資産としての暗号資産保有・運用と、暗号資産市場インフラ構築(取引所・IEO・優待など)の二面で展開されています。この双方向から収益機会を狙うアプローチは、単なる保有や投資に留まらず事業として暗号資産を活用しようとするものです。AI投資とのシナジーも模索しつつ、Web3金融領域へ深く踏み込んでいる点が特色です。
財務状況: AIFの財務は、上場後の積極投資で変動しています。2024年11月にはクラウドサービス企業ショーケース(東証スタンダード・3909)をTOBで子会社化し約18.36億円を支出、同日には青果卸の河合青果も0.2億円で子会社化するなどM&Aを連発しました。また暗号資産投資資金として最大30億円の増資枠(ワラント)を設定しており、資金調達と投資支出が活発です。直近の財務指標を見ると、時価総額は約130億円、純資産は8.05億円と報告されています。自己資本比率は60~70%台ですが、有利子負債も一定あり、EBITDAに対する有利子負債倍率は32倍超とのデータもあります。これはM&Aによる一時的な負債増や前期利益が小さいことも影響しています。ただショーケース社などの買収で連結売上高は大きく拡大し、2025年3月期は売上高50億円規模に達する見込みです(ショーケース単体で約24億円、河合青果も約10億円売上)。営業利益は小幅ながら黒字転換する可能性があります。暗号資産投資により一定の評価益も計上され始めています。もっとも調達した30億円ワラントは希薄化要因であり、全行使されれば発行株式数が約970万株から大幅増加し得ます。その場合、財務は潤沢になる一方、一株価値は薄まります。中期計画では2028年に時価総額1000億円を目指すとしていますが、達成には投資先の成長が不可欠でしょう。総じて、AIFの財務は投資フェーズ特有の不安定さがありますが、暗号資産含む投資資産の拡大で将来の収益基盤強化を図っている状況です。
保有仮想通貨規模: AIFの暗号資産保有額は増加途上です。2025年4月時点でBTC約24.6枚(取得額3億円)を保有しており、追加で2億円相当のBTC購入も決定済みです。最終的には調達30億円を全て投じる計画のため、総投資額は30億円・保有BTC量は100~150BTC程度になる可能性があります(BTC価格次第では変動)。時価総額130億円に対し30億円の暗号資産は約23%に相当し、保有仮想通貨の企業価値比率は2割超に達する計算です。これは国内企業としては高い比率ですが、メタプラネットやマックハウスほど極端ではなく中程度と言えます。さらに今後、子会社エデンが暗号資産交換業者として登録されれば、預り資産やIEOトークン等を扱うため暗号資産関連のオフバランス資産も増える可能性があります。またAIFが計画するLPSによる投資では、ファンド経由で保有するトークンも出てくるでしょう。これらは直接BSには載りませんが、同社の経済的エクスポージャーとしては暗号資産との関連度が一段と高まります。現状では保有3億円(約2%)から順次増加し最終的に20%超へという推移が見込まれ、企業価値に占める割合も投資進捗に応じて上昇する見通しです。
株価動向: AIF株は2024年10月の上場以降、300~400円台で推移していましたが、2025年に入り暗号資産関連の材料でゆるやかに上昇基調となりました。特に4月の暗号資産投資事業方針発表後、株価は500円台から年初来高値の1300円台まで上昇しています。4月7日のOKJとの提携発表時や4月18日の新事業決議時に買いが入り、その後5月の子会社化ニュースや中期計画発表で一時押し目をつけつつ、7月のビットコイン急騰局面で高値圏となりました。直近では1,200~1,300円付近で推移し、時価総額はIPO時約20億円から現在130億円超へ大幅拡大しました。これは増資による株式増加もありますが、それ以上に市場からの評価見直しが入った結果です。注目すべきは、同社の場合急騰・急落のボラティリティが比較的抑制されている点です。他の純粋な暗号資産プレイ銘柄と比べると、提携先の信用力や既存事業収入が一定の下支えとなり、マーケットも過熱し過ぎていません。もっとも7月には一時的に急伸する場面もあり、引き続き暗号資産相場や増資動向に敏感な値動きが予想されます。総合して、緩やかな上昇トレンドを描きつつ折々で材料出尽くしの調整を挟む展開となっています。
投資家適性: AIFは中長期志向の成長期待型かつ分散投資型の投資家に向く銘柄です。暗号資産とAIという新技術分野を融合した事業展開であり、今後の成長シナリオを信じる投資家には魅力があるでしょう。特にOKCoinや他企業との連携を生かし、暗号資産の投資からインフラ構築まで幅広く手掛けるビジネスモデルは、中長期で実を結べば大化けする可能性も孕みます。その一方、同社は本業が投資会社ゆえポートフォリオ次第でリスクを分散できており、例えばショーケース社など既存事業からの安定収益も期待できます。その意味で、マックハウスやエス・サイエンスほど暗号資産一本槍ではなくリスク分散型のクリプト関連株と言えます。短期の仕手的な値動きは相対的に穏やかで、腰を据えて成長を見守る投資家に向いています。ただし依然として小型株であり増資リスクもあるため、安全度は高くありません。総じて、新技術分野の成長を先回りしたい投資家や、暗号資産エクスポージャーをある程度抑えて保有したい投資家に適しているでしょう。ハイリスクすぎる銘柄は避けたいが暗号資産関連には触れたい、という場合に選択肢となる銘柄です。
TORICO (7138) – オンライン書店によるビットコイン資産運用とサービス高度化
概要・本業と参入経緯: TORICOは「漫画全巻ドットコム」等のネット書店やイベント事業を展開する小売企業です。2021年に新規上場し、コミック全巻セット販売や漫画関連イベントで成長を図ってきました。しかし近年は業績が伸び悩み、2023年8月期には最終赤字に転落するなど課題を抱えていました(売上高約37億円、純資産8億円)。そこで新たな成長機会創出と資産運用方針の一環として、2025年7月に暗号資産投資事業への進出を決定しました。具体的には2026年からビットコインを中心に総額5億円を投資・保有する計画で、同社にとって初めての金融資産運用事業となります。漫画のEC企業が仮想通貨に資産を振り向ける動きは異色ですが、背景には手元資金の有効活用と、ブロックチェーン技術を既存事業へ応用する狙いがあります。発表当日には株価がストップ高買い気配となるなど、市場もこの動きを好感しました。
事業内容: TORICOの暗号資産事業は大きく2点に整理できます。
- ビットコインへの投資・保有: トリコは初期投資額5億円でビットコインを取得し、資産の価格上昇と価値保全を図るとしています。同社の説明によれば、ビットコイン投資による評価益獲得とインフレヘッジ効果を期待する一方、財務基盤強化(資産裏付け価値の向上)も目的としています。実際、現預金として寝かせておくよりBTCに換えることで中長期的な値上がり益が得られれば、株主価値向上につながるという考えです。ただしリスク管理策として、一定以上の価格下落が生じた場合には保有資産の一部または全部を売却するロスカットルールを設定するとしています。この明文化は珍しく、暗号資産価格の急変動に備えた社内ルールを敷いている点は注目されます。例えば取得価格から○%以上下落した場合自動売却、という基準をあらかじめ定めることで、最悪の場合でも損失を限定しようという姿勢です。併せて、暗号資産運用にあたっては外部の専門家をアドバイザー契約して助言を受ける方針も示しています。社内に十分な知見がない中での新規分野参入のため、プロの知見を借りて慎重に運用する構えです。これらの取り組みから、TORICOはあくまで資産運用の一環としてBTC投資を行うというスタンスがうかがえます。
- ブロックチェーン技術の既存事業への活用: TORICOは暗号資産投資の決定と同時に、「ECサービス及びイベントサービスの高度化・新規事業創出」にブロックチェーン技術やデジタルアセットを活用すると発表しました。具体的には明示されていませんが、例えば電子書籍や漫画原画のNFT化、ファンコミュニティトークンの発行、イベントチケットのブロックチェーン管理などが考えられます。漫画コンテンツ企業ならではのWeb3展開として、自社コンテンツをNFTマーケットで販売したり、読者参加型のトークンエコノミーを構築したりする余地があります。現時点では構想段階ですが、「既存事業の高度化と新規事業創出」を掲げている以上、単なる資産運用に留まらず自社サービスへのブロックチェーン導入を視野に入れていることは確かです。例えば、漫画全巻ドットコムで購入履歴に応じて独自トークンを付与し二次流通させる、といったファン施策も可能かもしれません。この点は今後の具体策が注目されますが、少なくともTORICOはブロックチェーンを自社ビジネスに組み込む意欲を示している点で、単なる財テク目的の暗号資産保有とは一線を画しています。
以上2点から、TORICOの仮想通貨事業は(1)財務戦略的なBTC保有と(2)事業戦略的なブロックチェーン活用の両面を持つことがわかります。
財務状況: TORICOの2023年8月期業績は売上高36.8億円、営業利益▲0.34億円(赤字)、経常利益▲0.61億円、当期純利益▲0.99億円でした(最終赤字)。電子書籍価格引下げやイベント自粛の影響で減収減益となり、上場2年目で早くも赤字に陥っています。自己資本比率は2023年8月末で約45%、純資産は8.05億円です。有利子負債は2.59億円あり、財務レバレッジはやや高め(有利子負債倍率32.21)ですが、これは利益が小さいため倍率が膨張して見える面もあります。実際、借入金はイベント再開等で2024年8月期には順調に返済中です。5億円のBTC購入資金については、内部留保や運転資金の一部を充当するものと思われます。2023年8月末時点の現預金は約4.3億円なので、資金繰り上タイトになる可能性もありますが、その際は銀行借入などで調達する余力はあります。いずれにせよ、5億円は同社純資産の60%強に相当する大きな金額であり、会社の命運をかけた運用と言っても過言ではありません。そのため前述のロスカットルールなど安全策を講じているのでしょう。なお暗号資産投資開始を発表した2025年7月時点では、株価上昇により株式時価総額は約12億円まで増えています。この結果PBRは一時15倍を超え、株価には将来の利益回復とBTC保有益への期待が織り込まれた形です。今後、暗号資産事業での利益計上(例えば売却益)が実現すれば財務改善が見込めますが、逆に損失発生時は純資産棄損リスクも孕みます。財務面では慎重な運用が求められる状況です。
保有仮想通貨規模: TORICOは2026年より段階的にBTCを購入するとしており、初期投資額は5億円と明示されています。これは仮に取得時のBTC価格を1BTC=1000万円とすれば50BTCに相当します。ゆくゆくは投資拡大の可能性もありますが、現時点の計画では保有量50~数十BTC規模と考えられます。株式時価総額約12億円に対し5億円は約42%に達し、国内企業としてはかなり高い比率です。実際、発表直後の市場も「企業価値の半分近くをBTCが占める可能性」と捉え、株価を大きく動かしました。ただ、前述の通りTORICOは一定下落でロスカットする方針のため、価格急落局面では資産を手放す可能性があります。この場合、結果的に保有暗号資産額は限定的となり、損失も限定的になるでしょう。したがって「仮想通貨保有額/時価総額」の比率は状況次第で上下します。基本シナリオではBTC価格が堅調に推移し長期保有が続くため40%前後まで上昇し得ますが、想定を超える暴落時にはゼロに戻ることもあり得ます。いずれにせよ、TORICOは他の同業者にはない規模でビットコインを保有することになり、国内小売業として突出した暗号資産エクスポージャーを持つ企業となります。なおブロックチェーン活用による新規事業から自社トークン等を発行する計画が出れば、別の暗号資産(自社発行トークン)を保有することにもなり得ますが、現時点ではそのような話は出ていません。
株価動向: TORICOの株価は暗号資産投資事業参入発表で急騰しました。2025年7月9日、発表翌日の取引開始から買い注文が殺到し、前日比+15.55%(+100円)のストップ高(743円)買い気配で引けました。出来高も平常時数千株からこの日は48万株超に跳ね上がり、市場の関心の高さを示しました。その後も高値圏で推移しましたが、7月中旬には利益確定売りに押され600円台後半まで一服しています。とはいえ発表前の株価(約550円)からは依然高く、年初来高値圏にあります。株価上昇の勢いはやや短期で収まりましたが、今後ビットコイン価格が上昇基調を続ければ再び物色される可能性があります。実際、同発表と同じタイミングでBTC相場が史上最高値更新目前となり、暗号資産関連株全体が底上げされていました。TORICOの場合、本業の業績寄与はまだ材料視されておらず、株価変動は暗号資産材料次第という状況です。そのため、BTC価格が堅調ならある程度買い支えられ、逆にBTC急落時にはロスカット実施観測もあり売られるといった連動性が予想されます。また浮動株が少なく板薄のため、短期資金が集まりやすく乱高下の可能性も否定できません。現段階では出来高も増えており、短期的な仕手性も内包しています。ただ他の純投機銘柄ほど極端ではなく、時価総額が小さい分値幅は出やすいものの、経営の基本にリアル事業がある点で一定の信用もあり、市場評価は総じて前向きです。
投資家適性: TORICOはミックス型の性格を持ち、短期投機と中長期成長期待の両面から投資家が参入しやすい銘柄です。短期的には、仮想通貨関連ニュースへの反応が素直で一時的な急騰を見込めるため、イベントドリブンで売買する投機的投資家に適しています。実際、参入発表でのストップ高はまさに短期資金の思惑買いでした。一方、中長期的には、同社がブロックチェーン活用で既存ビジネスを強化し新規事業を創出できれば、本業収益の改善余地があります。漫画というコンテンツ資産を持つ強みを活かせばWeb3時代に新サービス展開も期待でき、成長株志向の投資家にも魅力となり得ます。ただ現状ではそれらは未知数で、足元はBTC資産運用の成否が鍵です。5億円投資は会社財務に大きなインパクトを与えるため、ある程度リスク許容できる投資家向けと言えます。保有暗号資産の値動き次第で株価も振れやすくなるため、安定配当狙いや低リスク運用には向きません。総じて、短期の値動きを狙う投資家と将来のWeb3事業展開に賭けたい投資家、両者にアピールする銘柄ですが、それぞれの思惑が異なるため株価も不安定になりやすい点に注意が必要です。いずれにせよ投資にはビットコイン相場や同社の事業進捗を注視し、臨機応変な戦略が求められるでしょう。
SBIホールディングス (8473) – 金融大手による暗号資産事業の多角展開
- 関与状況: 一部参入型(周辺領域まで包括) – オンライン金融グループ最大手が、グループ内に暗号資産関連事業を幅広く抱えています。既存事業に加えて仮想通貨交換業やマイニング、VC投資など多角的に参入しています。
- 事業内容: SBIグループは2016年設立のSBI VCトレード(旧称:SBIバーチャルカレンシーズ)で国内有数の仮想通貨取引所を運営。さらに米国・英国でマイニング事業(SBI Crypto)やマーケットメイク事業(B2C2社)を展開。ブロックチェーン分野のベンチャー投資、セキュリティトークン市場(大阪デジタルエクスチェンジ)への参画、米大手と提携したデジタルアセットファンド組成など、伝統金融と暗号資産の融合を積極推進しています。またRipple社に2013年頃から出資し、Ripple社の発行する暗号資産XRPとも深い関係があります。
- 財務状況: 2025年3月期の連結収益(売上高)は1兆4,437億円(前期比+19.3%)と過去最高、税引前利益は2,823億円(+99.4%)を計上しました。暗号資産セグメントの収益は808億円(+41.4%)、税引前利益212億円(+151.8%)と2期連続で過去最高を更新しています。グループ全体に占める比率はまだ一部ですが、無視できない利益貢献となっています。自己資本比率は約12%(メガバンク並み)で健全性も高いです。
- 保有仮想通貨: 自社での明示的なBTC保有額は公表されていません。マイニング事業で得たBTCや、マーケットメイク用の流動性ストックなどビジネス上の在庫保有はありますが、財務戦略として積極的にBTCを買い増すスタンスではありません(国内企業ランキングにも未登場)。一方、Ripple社の株式を通じてXRPの間接的なエクスポージャーがあります。Ripple社が保有する大量のエスクローXRPの価値は含めていないものの、「もし公開されれば1兆円をはるかに超える含み益になり得る」と北尾社長が発言しています。また株主優待でXRPを配布するなどユニークな施策も行っています。
- 時価総額比率: 時価総額は約1.1兆円と巨大で、仮にグループ内に数百億円規模の暗号資産を保有していても全体から見れば数%以下でしょう。例えば暗号資産事業の年収益808億円は、株価の価値反映では10%弱程度のウエイトになります。従って株式の価値における仮想通貨の比率は限定的です。
- 株価推移・市場反応: SBI株は本業が多岐に渡るため、ビットコイン相場との連動性は低めです。2020年末〜2021年初の仮想通貨バブル期でも、SBI株の上昇率は+16%程度と、仮想通貨事業を持つ他社(マネックス+200%以上など)に比べて穏やかでした。これは同社収益の大半が証券・銀行など従来金融で占められているためです。ただ、昨今の決算説明では北尾社長が「もはや株と債券だけの旧時代ではなく、デジタルアセットを視野に入れる」と述べるなど、グループの中長期戦略で暗号資産・Web3領域を重視する姿勢を見せています。市場もその点は評価しており、暗号資産部門の利益急増が確認された2025年3月期決算発表後には株価が一時上昇しました。
- 投資家タイプ: 安定志向・分散投資家向け。SBIは金融コングロマリットとして配当利回りも高く(3~4%台)比較的ディフェンシブですが、暗号資産という新成長分野も取り込んでいます。「本業安定+仮想通貨の成長オプション」を求める投資家にマッチします。仮想通貨への直接曝露は小さいため、爆発的リターンは望めませんが、逆に暗号資産市況悪化でも企業価値全体へのダメージは限定的です。
マネックスグループ (8698) – ネット証券大手のCoincheck活用戦略
- 関与状況: 一部参入型(買収による参入) – マネックスは2018年に仮想通貨交換業者コインチェックを約36億円で買収し、伝統金融×暗号資産の融合を進めてきました。以来、暗号資産事業はグループの重要な柱の一つです。
- 事業内容: 傘下のCoincheck株式会社を通じ、国内有数の暗号資産取引所「コインチェック」を運営。個人投資家向けに売買サービスを提供し、口座数は229万、預かり資産は約8,600億円に上ります。また日本初のIEO(トークン新規発行)を2021年に実施して以来、累計4件のIEOを手掛けています。NFTマーケットプレイスも展開。2024年にはコインチェックグループ(CNCK)を米ナスダックにSPAC上場させ、国際展開の足掛かりとM&A資金調達通貨を確保しました。
- 財務状況: 2025年3月期、暗号資産事業セグメントの営業収益は134億円(前年比+45.7%)と大幅増収でした。しかしNASDAQ上場関連の一時費用計上で、セグメント税引前利益は135億円の赤字に(一過性費用除けば+47億円の黒字)。グループ全体では米国子会社(TradeStation)や国内証券も好調で、調整後税前利益136億円と安定した稼ぎがあります。自己資本比率は約25%で健全。なお年間配当を6期連続増配するなど、収益基盤の強さも示しています。
- 保有仮想通貨: マネックス本体としての巨額保有はありません。コインチェック事業で顧客から預かる暗号資産はありますが、あくまで顧客資産(約8,600億円)であり、同社の純保有ではありません。会社として保有するのは、マーケットメイクや貸暗号資産サービス用の在庫などが一部ある程度でしょう。したがって財務資産としての暗号資産保有額はごくわずかです。
- 時価総額比率: 仮に在庫程度のBTC等を持っていたとしても、時価総額約3,500億円に対して1%未満でしょう。事実上ゼロに等しいと言えます。
- 株価推移・市場反応: マネックス株はビットコイン相場と高い連動性を示すことで知られています。実際、2020年10月からBTC急騰が始まると4ヶ月で株価は3倍近くに上昇し、年初来上昇率でTOPIX構成銘柄中2位を記録しました。2021年2月にはビットコイン急落に伴い一時11%安となる場面もあり、証券アナリストから「営業レバレッジの高さゆえBTC価格と連動した値動き」と指摘されています。つまりコインチェックの業績=BTC取引量で利益が大きく変動するため、株価も暗号資産市況に敏感に反応する傾向があります。もっとも2022年以降は株価低迷が続きましたが、2023~2024年にかけてコインチェック上場や相場回復の話題で再注目されています。
- 投資家タイプ: 成長+中リスク志向。マネックスは証券・投資運用・銀行も持つ総合金融グループですが、その中で暗号資産事業が高い成長ドライバーとなっています。暗号資産バブル期には急騰する半面、低迷期には業績悪化で株価下落もあります。したがって、「金融株の安定感と仮想通貨の爆発力の両取り」を狙う中長期投資家に適しています。配当利回りも5~6%台と高めで、腰を据えてホールドしやすい銘柄でもあります。
海外の著名な仮想通貨関連企業
世界に目を向けると、仮想通貨・ブロックチェーン分野で先行する有名企業が多数存在します。日本企業の動きも、こうした海外事例に触発された面があります。代表的な例をいくつか挙げます。
- マイクロストラテジー(MicroStrategy Inc.): 米国NASDAQ上場の企業向けソフトウェア会社ですが、世界で最もビットコインを保有する上場企業として知られます。2020年以降余剰資金でBTCを爆買いし、現在約152,800BTC以上(時価数千億円)を保有しています。創業者のマイケル・セイラー氏は企業のBTC採用を強力に推進し、ビットコインETF未承認の米国でMicroStrategy株は事実上の「Bitcoin ETF代替」として人気化しました。日本でメタプラネットが生まれた背景にも、このMicroStrategyの成功があり、Beat Holdingsなどもその戦略を手本にしています。MicroStrategy株価はビットコイン相場と連動し、2020年以降に10倍以上に高騰しました。
- テスラ(Tesla Inc.): イーロン・マスク氏率いる電気自動車大手です。2021年に15億ドル相当のビットコイン購入を電撃発表し、市場を驚かせました。その後一部売却したものの、現在も約10,000BTC強を保有しています。また一時ビットコイン決済を自社製品に導入するなど実験的試みも行いました(環境問題指摘で停止)。テスラは巨大企業ゆえBTC保有が財務に占める割合は小さいですが、有名企業が暗号資産をバランスシートに載せた先駆例としてインパクトが大きく、日本企業が追随する契機ともなりました。メタプラネットがテスラの保有量を超え世界ランキング上位に入ったことは前述の通りです。
- コインベース(Coinbase Global Inc.): 米国の大手暗号資産取引所です。2021年にNASDAQへ上場し、純粋な仮想通貨ビジネス企業として初のメジャーIPOとなりました。売買高やユーザー数で米トップクラスであり、上場後の株価は暗号資産相場に応じて乱高下しました。Coinbaseは企業として約9,000BTCを保有しているとされ、これは先述のメタプラネットが6月時点で抜き去った量です。同社は取引所事業だけでなく、NFTマーケットやイーサリアム層2ネットワーク構築などにも注力しています。世界の仮想通貨エコシステムで重要プレイヤーであり、日本でもその動向は注目されています。
- その他テック・金融大手: 仮想通貨関連ではありませんが、たとえばMETA(旧Facebook)は独自のステーブルコイン構想「Libra(Diem)」を打ち出すも規制で頓挫しました。グーグル(Alphabet)やマイクロソフトは直接暗号資産を保有しませんが、ブロックチェーン技術のクラウド提供などを開始しています。JPモルガンなど一部の海外大手銀行はブロックチェーン決済ネットワークを構築し、仮想通貨の裏側技術を取り入れつつあります。またPayPalはユーザー向けに仮想通貨売買サービスを提供開始し、独自ステーブルコインを発行する計画も発表しました。NFT分野ではユニバーサル・スタジオなどエンタメ大手が参入しています。このように海外では様々な有名企業が仮想通貨・ブロックチェーンに直接・間接に関与し始めています。日本企業もこうした流れを横目に、自社で何ができるか模索している状況と言えるでしょう。
海外の著名企業は総じて資金力があり規模も桁違いですが、その動きがグローバルスタンダードとなり、日本企業の背中を押す役割を果たしています。今後、より多くの海外大企業が暗号資産を保有・活用すれば、日本でも追随する企業が増える可能性があります。
まとめ
以上、仮想通貨関連事業に携わる企業の状況を比較してきました。それぞれ参入の動機や事業内容、財務体質、株式市場での評価が大きく異なっており、十把一絡げに「仮想通貨関連株」と言っても多様な姿が浮かび上がります。
総じて、仮想通貨関連株は魅力とリスクが表裏一体です。ビットコインをはじめ暗号資産市場が中長期で成長すると見込むなら、関連株への投資も高いリターンをもたらし得ます。一方で規制リスクや市場変動、流動性不足など高いボラティリティに晒される覚悟も必要です。投資戦略としては、自身のリスク許容度と投資目的を明確にし、銘柄特性に合わせたポートフォリオ比率を考えることが大切でしょう。短期勝負と割り切るなら損切りラインの設定、中長期狙いなら日々の値動きに惑わされない強い意志が要求されます。幸い日本では税制改正論議も進んでおり、市場環境は徐々に改善しつつあります。今後も「企業財務にビットコインを組み入れる」潮流は続く可能性があり、その波にうまく乗ることで投資妙味を享受できるでしょう。ただし最終的には各企業の本業での価値創造が株価の持続的向上につながる点を忘れず、仮想通貨“バブル”の熱狂に流されない冷静さを持って臨みたいところです。

