インフォリッチとは?事業概要と市場環境
インフォリッチ (INFORICH) は、モバイルバッテリーのシェアリングサービス「ChargeSPOT」を運営する企業です。駅や商業施設などに設置されたスタンドからモバイルバッテリーを借りて、別のスタンドで返却できる仕組みで、「どこでも借りられて、どこでも返せる」をコンセプトに2018年からサービスを開始しました。国内では設置台数シェアNo.1を誇り、2025年3月時点で約5万台以上のバッテリースタンドを展開しています。また、充電スポットそのものを広告媒体として活用したり、海外(アジア)展開も進めるなど、単なるレンタル業に留まらない収益モデルを模索しています。
こうした事業を取り巻く市場環境にはプラス要因とマイナス要因の両方が存在します。まずプラス面として、スマホ本体価格の高騰があります。近年スマートフォンの価格は年々上昇し、最新モデルは15万円を超えることも珍しくありません。実際、ある調査では「価格が理由で新機種への買い替えを諦めた」人が全体の45%にも上るとの報告があります。価格高騰の影響でスマホの買い替えサイクルは平均1~2年延びており、4~5年近く同じ端末を使うケースも増えてきました。この結果、使用年数が延びたスマホは内蔵バッテリーの劣化が進み、外出先でバッテリー切れに悩む人が増える可能性があります。買い替えを我慢しているユーザーにとっては、必要なときだけ外部バッテリーをレンタルする需要が高まる余地があり、これはインフォリッチのサービス拡大に追い風となり得るでしょう。
一方でマイナス要因も見逃せません。まず、モバイルバッテリーそのものの安全性への懸念です。昨今、モバイルバッテリーの発火・爆発事故が増加傾向にあり、日本国内でも件数が急増しています。独立行政法人NITEの調査によれば、モバイルバッテリーが原因の事故は2022年の56件から2024年には123件と2倍以上に増えたとのデータがあります。特に夏場に事故が集中し、大規模リコールや航空機内持ち込み禁止措置(中国での事例)なども発生しました。こうしたニュースを受けて消費者の中には「自分でモバイルバッテリーを持つのは不安だ」と感じる人も出始めています。安全面の不安からモバイルバッテリーの購入を控える動きが起きれば、一時的にはレンタル需要につながる可能性もありますが、逆に「バッテリー自体を持ち歩かない」という行動変容につながるリスクも考えられます。この点は今後の市場動向に注意が必要です。
さらに技術革新と競合状況もマイナス要因になり得ます。スマートフォン自体のバッテリー性能向上もその一つです。最近発売されているスマホはバッテリー容量が増加傾向にあり、4,000mAh超えも珍しくなくなっています。端末の省電力化や急速充電技術の進歩も相まって、「昔ほど外部バッテリーに頼らなくても一日持つ」というユーザーも増えつつあります。また、市場には低価格で大容量のモバイルバッテリーが多数出回っています。例えば2万mAh級のバッテリーが数千円で購入可能になるなど、コストパフォーマンスが飛躍的に向上しています。アンカーなど信頼性の高いメーカー品でも比較的安く入手できるため、「いざという時のために自前で1台持っておこう」という層にはレンタルより購入が選好されるでしょう。このように、インフォリッチの事業ドメインそのものが技術進歩や価格競争の波を被りやすい点は、中長期的な成長余地を相殺する要因と言えます。
総合すると、インフォリッチの将来性は現時点で強気とも弱気とも言い難く、中立的な評価になります。モバイルバッテリーシェアリングというサービス自体は現代のニーズにマッチしており、同社も国内トップシェアを握る先行者利益があります。しかし、前述したような安全性への懸念や代替手段の充実、技術トレンドの変化により、大きく飛躍するか頭打ちになるかは今後の展開次第でしょう。このようなファンダメンタルズの状況を踏まえ、次章では直近の業績動向を確認した上で、株価のテクニカルな側面を時間軸ごとに分析し、考え得る投資戦略パターンを探っていきます。
最近の業績動向と財務状況
インフォリッチの直近の決算発表(2025年12月期 第2四半期)を見ると、売上は大きく伸びたものの利益面で苦戦しています。2025年8月13日に発表された上期(1~6月)連結決算では、売上高が62.56億円と前年同期比+36.5%増収となりましたが、経常利益は3.6億円と前年同期比▲34.4%減益となりました。営業総利益率も前年同期の11.3%から7.6%へ低下しており、収益性の悪化が顕著です。会社側は通期計画の据え置きを発表しましたが、上期時点の経常利益進捗率はわずか16.7%に留まっており、未達リスクが意識されています。通期目標達成には下期で前年同期比+52.9%もの大幅増益を達成する必要があり、ハードルは高めと言えます。
一方、過去の実績を振り返ると業績は拡大傾向にあります。2022年12月期は最終赤字でしたが、2023年12月期には売上高76.8億円、経常利益6.3億円・最終利益5.7億円と黒字転換しました。続く2024年12月期は売上高107億円、最終利益20.6億円と売上・利益とも大幅な成長を遂げています。特に最終利益は前年比で約4倍に急増し、1株当たり利益(EPS)も217.8円まで跳ね上がりました。この好調な業績を背景に、現在の株価指標(PER)は一桁台後半〜10倍前後まで低下しています。例えば8月15日終値ベースでは予想PERが約9.8倍と、成長銘柄としてはかなり割安な水準に見えます。高い増収率に対して市場の評価が低く、一見するとファンダメンタル面では「割安」に映るかもしれません。
しかし、注意すべきは上述した利益成長の減速です。会社計画によれば2025年12月期の最終利益予想は23.58億円で、前年の20.61億円から+14.4%の増益にとどまる見通しです。前期までの倍増ペースから増益率が一桁台に鈍化する計画であり、実際上期の減益を見る限り達成も不透明です。利益成長が鈍ればPERの低さも相対的な魅力を失います。また、株主還元については現在まで無配を継続しており、配当利回りは0%です。成長優先のため内部留保に回す方針と考えられますが、投資家から見るとインカムゲインが期待できない点はマイナス材料でしょう。
財務面では詳細な開示が必要ですが、成長企業ゆえ積極投資による設備増強を行っているものと推察されます。実際、EBITDA(現金収益)は増加している一方で減価償却等の負担から経常利益・純利益が減少している現状があり、今後は「収益性向上が課題」とも評されています。拡大路線で設置台数やユーザー数を増やしてきたものの、コスト増(バッテリー調達費用や人件費、減価償却費など)が先行して利益を圧迫している構図です。つまり、今後は売上拡大のペース以上に採算性の改善を図れるかが鍵になります。
以上を踏まえると、ファンダメンタルズ面でインフォリッチ株に対する市場の見方はやや様子見ムードとも言えます。急成長を遂げた2024年までとは異なり、2025年は成長と利益のバランスに課題を抱えているため、投資家も慎重になっています。実際、みんかぶの投資家アンケートでも「様子見」や「売りたい」との声が優勢で、強気一辺倒だった状況から変化が出ています。もっとも、業績が再びサプライズ的に伸びれば一転して評価が見直される可能性もあり、現状は良くも悪くも割安さと不透明さが同居する状態と言えるでしょう。このようなファンダメンタルの下地を頭に入れつつ、次に株価のテクニカル分析を長期・中期・短期のタイムスパンごとに行います。
長期的な株価推移(IPO~現在)とボラティリティ
インフォリッチ株の長期チャートを見ると、その値動きの荒さが際立ちます。まず2022年12月の新規上場(IPO)時、公開価格4,600円(株式分割後換算920円)に対し初値が10,510円(株式分割後換算2,102円)と公開価格の約2.3倍に跳ね上がりました。初値形成時には出来高も多く、市場の期待感から上場直後は一時的に1万円超えという過熱気味のスタートを切ったわけです。しかし、そこが事実上の天井となり、その後は早々に下落トレンドへ転じました。IPO熱が冷めると利益確定売りや需給悪化により株価は急降下し、上場からわずか数ヶ月後の2023年5月には最安値1,157円前後まで下落しています。この期間は、IPO直後の過大評価が是正され、本来の企業価値に見合った水準まで調整した局面と捉えられます。
その後、2023年後半から2024年にかけて株価は大きく回復しました。業績拡大や成長期待が再燃したこともあり、2024年には株価が再び上昇基調に乗ります。特に2024年後半、同社が大幅増益決算を発表した直後の2024年11月21日には株価5,570円まで上昇し、52週高値を更新しました。この水準は直近1年での最高値であり、上場来安値だった1,100円台から見ると5倍以上にもなります。IPO時の初値こそ超えられていないものの、急落後の安値圏からは驚異的なリバウンドを見せたわけです。要因としては、2024年通期の業績が市場予想を上回る好調さだったこと、ChargeSPOTの設置台数拡大や海外展開に対する成長シナリオが改めて評価されたことなどが考えられます。
しかし2025年に入ると流れが変わりました。年初来高値は4,625円(2025年2月13日)で、これはちょうど2024年決算発表前後のタイミングでした。決算通過後は材料出尽くし感もあってか上値が重くなり、その後は下落基調が続いています。2023~2024年にかけての上昇トレンドから一転、2025年は長期トレンドとして再び下降局面に入ったといえます。8月時点では株価は2,000円台前半まで沈んでおり、ピークから半分以下の水準です。直近の年初来安値は2,442円(2025年7月22日)でしたが、それすらも割り込んで過去1年間で最安値圏を更新中となっています。
このように長期スパンで見ると、インフォリッチ株は数年の間に急騰と急落を繰り返すジェットコースターのような値動きを経験しています。IPO直後のバブル的上昇とその反動、そして業績に沿った回復と再調整というサイクルが見て取れます。ボラティリティ(変動率)の高さから、長期で保有するのは心理的負担が大きい銘柄と言えますが、裏を返せばタイミングを捉えれば大きなリターンも狙える銘柄でもあります。長期投資の戦略としては、この乱高下を前提に「安値圏で仕込み、高値圏で利益確定する」スタンスが有効ですが、それを事前に見極めるのは容易ではありません。次章では中期的な視点で直近1年程度のトレンドを分析し、現在の位置づけをより詳しく探ります。
中期的な株価動向(直近半年~1年)
ここ半年から1年程度の中期的な株価トレンドを振り返ると、明確な下降トレンドが確認できます。前述の通り、2024年11月の高値5,570円を頂点に、その後の高値は2025年2月の4,625円と切り下がり、安値も徐々に切り下げる下降チャネルを形成しました。2025年春以降は移動平均線も下向きに転じ、25日線や75日線を上回れないまま推移する弱含みの展開が続いています。株探の分析でも、直近の株価は5日線・25日線をそれぞれ約9~10%下回り、75日線からは20%以上下方乖離するなど主要な移動平均線を軒並み割り込んでいる状態です。これは中期的なトレンドが完全に下向きであることを示唆しており、まずは下降トレンドからの転換シグナルが出るか否かが焦点となります。
特に注目すべきは、出来高と需給面の悪化です。今年夏場の下落局面では出来高が膨らみ、信用買い残高も増加の一途をたどりました。8月上旬時点で信用買い残は約181万株(8/8現在)と膨大で、対して信用売り残はゼロに等しい状況でした。これは貸借倍率無限大の「買い長」状態を意味し、需給が大きく偏っていることを示します。言い換えれば、多くの投資家が下落局面でナンピン買い・信用買いを入れて拾ったものの、下げ止まらずに含み損を抱えている状態です。こうした局面では、さらなる下落時に信用の投げ売り(ロスカット)が断続的に発生し、下げに拍車をかけるリスクがあります。実際、7月~8月にかけての下落幅の大きさを見ると、信用ポジションの解消売りが出た可能性が高いと考えられます。
8月14日には決算明けの失望もあり、一日で前日比-13.87%という急落を演じました。この日は年初来安値を更新し、出来高も178万株超と膨れ上がっています。市場ではいわゆる“悪材料出尽くし”を期待する向きもありましたが、翌15日も安値圏から大きく反発することなく推移し、明確なリバウンドの兆しは現れていません。直近安値圏の2,200~2,400円台には明確な支持線がなく、下値不安が意識されやすいゾーンです。中期的なテクニカル指標でも RSI(相対力指数)などが一時的に売られ過ぎシグナルを示す場面もありますが、それが持続的な反転につながるかは不透明です。
以上の状況から、中期スタンスの投資家が取れる戦略としては「下降トレンドが終息するまで慎重に構える」のが基本路線となるでしょう。具体的には、株価が25日移動平均線を明確に上抜き、それをサポートに転じる動きが見られるか、あるいは直近高値(例えば3,000円台前半の水準)を超えてくるかといったトレンド転換シグナルの確認が必要です。それまでは無理に逆張りで中期買い増しをせず、様子見または戻り売りを検討するのが無難と考えられます。実際、信用買いの膨張という需給悪の要因が解消されるには時間がかかる可能性があります。仮に株価が反発しても、含み損を抱えた投資家の戻り売り(いわゆるしこり玉の解消売り)が出やすく、上値は限定的と見る向きもあります。このため、トレンドがフラットないし上向きに転じるまで中期的には慎重姿勢を崩さず、「安易な押し目買いは避ける」のがリスク管理上は賢明でしょう。
一方で、中期的視点では業績動向のサプライズにも注意が必要です。次の四半期決算(2025年3Qなど)で会社計画に対する進捗が大きく改善したり、新規事業や提携などのポジティブ材料が出れば、市場心理が一転してトレンド転換が早まる可能性もあります。そうした場合には、下げ相場で溜まっていた空売りや信用買い残の買い戻しによる急速なリバウンド(ショートカバー)も起こり得ます。現在の中立的・弱気な相場観がコンセンサスとなっている分、良い意味で期待を裏切る材料が出た際の上昇ポテンシャルは大きい点も念頭に置きたいところです。
短期的な見通しとトレード戦略(数日~数週間)
最後に、短期的な視点で直近の値動きを分析し、考えられるトレード戦略を述べます。前述のように8月中旬の急落で年初来安値を更新したことで、テクニカルには短期的な売られ過ぎ感が漂っています。急落当日の8月14日は出来高急増と大陰線を伴う下ヒゲの長いローソク足となり、いわゆる“セリングクライマックス”的な形状にも見えました。経験則的には、これだけ急激に下げた後は一旦のテクニカルリバウンド(自律反発)が入りやすく、短期筋にとっては数日~数週間程度のリバウンド狙いの買いチャンスが訪れる可能性があります。実際、8月下旬以降にかけては一部で安値拾いの買いも観測され、下げ渋る動きが出始めています(※具体的な日付と値動きは執筆時点)。
ただし、短期リバウンドを狙うにしても慎重なリスク管理が欠かせません。上述のように中期トレンドは依然下降局面であり、ちょっとした戻りは信用組の戻り売りに押されて失速しやすい局面です。例えば直近安値圏の2,300円前後から反発しても、まずは直近上値抵抗になっていた2,600円前後や、心理的節目の2,500円付近で売り圧力がかかる展開が予想されます。そのため、短期トレードでは「○○円まで上がったら利食い」「○○円を割り込んだら損切り」といった具体的なラインを決め、機動的に売買する戦術が求められます。幸い、インフォリッチ株はボラティリティが高いため、うまく波に乗れば数日で数%~二桁%の値幅を取れる可能性がありますが、逆に読みが外れると同程度の下落に巻き込まれるリスクも高いです。
短期目線でポジティブ材料を探すとすれば、8月14日の急落以降に悪材料が出尽くした点があります。第2四半期決算という直近の不安材料を消化したことで、当面は新たなネガティブサプライズは限定的と見られます。また、信用買い残の増加についても、追証発生ラインを下回るような急落は一巡した可能性があり、短期的な投げ売り圧力は峠を越えた可能性があります。東京市場全体の地合いにもよりますが、下値では自律反発狙いの買い支えも期待できるため、短期的には下げ幅よりも戻り幅を狙う局面に移行しつつあるようにも見えます。
以上を踏まえた短期戦略のパターンとしては、主に2つが考えられます。一つはリバウンド狙いの短期買いです。セリングクライマックス後の反発を信じ、安値圏でエントリーして数日の戻りで利益確定を狙う戦術になります。例えば、RSIやボリンジャーバンドなどが極端な売られ過ぎを示したタイミングで買い、5~10%程度の反発があれば素早く利食うといったイメージです。重要なのは欲張らず短期利ザヤを抜くことに徹する点で、前述のように抵抗帯では確実に利確するかポジションを落とすなど、防御を固めた上で臨む必要があります。
もう一つは、戻り売り・ショート戦略です。ただしインフォリッチは制度信用では空売りができない銘柄(いわゆる「信用買いのみ可能」銘柄)であるため一般的な個人投資家には現物売り以外でのショートエントリーは難しい状況です。機関投資家や先物・CFDなど代替手段を持つ向けの戦略になりますが、リバウンド局面で過熱感が出たら再度売りポジションを構築し、下降トレンドの継続に賭ける方法です。例えば25日線や直近高値水準まで戻したところで新規売りを仕掛け、再度下値トライがあれば利益にする形です。もっとも前述の通り個人が取れる手段は限定的なので、多くの投資家にとっては無理に空売りを狙わず、反発狙いの買いに絞るほうが現実的でしょう。
総じて短期では、既に弱気材料は織り込んだとの見方からテクニカル反発を狙う余地があるものの、依然として下落トレンドの途上にある点を忘れてはいけません。「戻りは利確、下落再開なら即撤退」くらいの機敏さで臨むことが肝要です。資金管理と損切りルールを徹底し、仮にシナリオが崩れた場合でも致命傷を避けるよう注意が必要です。短期売買に不慣れな場合やリスク許容度が低い場合は、無理にこの変動に飛び込まず、次に紹介するような別のスタンスを検討しても良いでしょう。
投資戦略パターンの考察とまとめ
以上のファンダメンタルズ分析およびテクニカル分析を踏まえ、インフォリッチ株に対して考えられる投資戦略のパターンをいくつか整理します。投資スタンスやリスク許容度、保有期間の想定によってアプローチは異なりますので、自身の方針に合った戦略を選択することが重要です。
- ①長期スタンス:将来性に賭けて押し目で分散投資
インフォリッチの事業モデルと成長ポテンシャルを信じ、腰を据えて長期保有する戦略です。スマホ依存が高まる社会で「充電インフラ」を握る同社の優位性に注目し、現在の株価水準(PER一桁台)は将来の成長を織り込んでいないと判断する場合に有効でしょう。具体的には、株価が低迷している今こそ少しずつ買い増していく方法です。ただし一度に資金を投入せず、時間分散・価格分散しながらナンピン買いも辞さない覚悟で臨むイメージです。将来的にモバイルバッテリー需要が飛躍的に増えるシナリオ(例えば海外展開の成功や、新サービス展開による収益拡大など)では大きなリターンが期待できます。ただし、この戦略は中長期の業績悪化リスクや技術トレンドの変化リスクも背負うことになるため、インフォリッチの将来性を中立ではなく“やや強気”に見ている投資家向けと言えます。また、実際に業績が再加速するまで株価が低迷する可能性もあるため、配当ゼロでも辛抱強く待てる資金で行うことが前提です。 - ②中期スタンス:トレンド転換狙いの待機策
こちらは現在の下降トレンドが上昇に転じるタイミングを待ってから参戦する戦略です。ファンダメンタルズ面では現状中立で判断材料に欠けるため、テクニカルな明確なシグナルが出るまで焦って動かない姿勢とも言えます。具体的には、株価が中期的な下降トレンドラインをブレイクアウトし、出来高を伴って25日線・75日線を上回るなど、上昇トレンド転換を確認してからエントリーします。例えば株価が3,000円台を明確に回復し、その水準を維持できるようなら中期上昇トレンド入りの可能性が高まります。その際に初めて本格的な買いポジションを築く形です。それまでは現金比率を高めに保ち「様子見」を貫きます。この戦略の利点は、下落中に無理に逆張りせずリスクを限定できる点ですが、反面シグナル確認後には株価がある程度上がっている可能性が高く、初動の安い値段では買えないというデメリットもあります。しかし「安いと思って買ったらさらに半値になった」という最悪の事態を避けるためには有効な手法です。インフォリッチの場合、業績動向やマーケット全体のセンチメントによってはトレンド転換まで相応の時間がかかるかもしれませんが、焦らず待つことでリスクを減らし、上昇トレンドに乗って中期的な値幅を取る戦略になります。 - ③短期スタンス:ボラティリティ活用のスイングトレード
短期的な値動きの振れ幅(ボラティリティ)の大きさを利用し、数日~数週間単位で利ざやを狙うスイングトレード戦略です。具体的には、前述のようなテクニカルリバウンド局面で買って速やかに売る、あるいは一時的な戻り高値で売って再度下がったところで買い戻すといった小刻みな売買を繰り返します。インフォリッチのように話題性があり値動きの激しい銘柄は、短期資金が集まりやすいためテクニカル指標が機能しやすい側面もあります。例えばRSIが30を割る水準ではリバウンド狙いの買い、70を超える局面ではいったん利食い、といったオーソドックスな手法も有効かもしれません。また、直近でいえば急落後の数日間で5~10%程度反発する局面があればそれを利益確定のチャンスと捉えるなど、柔軟に対応します。重要なのは明確な利確・損切りルールを決めておくことで、例えば「5%上昇したら半分売却、10%上昇で全て利確」「エントリー値から3%下落したら損切り」等、自分なりの基準を予め設定しておくことです。短期スイングはヒットアンドアウェイの繰り返しであり、勝率よりも損小利大を徹底することでトータルプラスを狙います。この戦略は短期売買の経験値がものを言うため、初心者には難易度が高いですが、現在のような方向感に欠ける相場でも収益機会を見出せる方法と言えます。ただし、ニュースや突発材料にも左右されやすいため、必ず最新情報をチェックしつつポジション管理することが求められます。 - ④様子見スタンス:中立姿勢を貫く
最後は戦略というよりは積極的な売買をあえて行わない選択です。ユーザーご自身も「将来性は中立」と評価されている通り、現時点で強気にも弱気にも傾きにくい状況です。そのため「無理にポジションを持たず、納得できる材料が出るまで様子を見る」というのも立派な戦略となります。具体的には、インフォリッチに関するニュースフローや業績トレンドをウォッチし続け、例えば「モバイルバッテリー事故の問題が沈静化しレンタル需要が明確に伸び始めた」「低価格バッテリーの市場浸透が頭打ちになった」「スマホのバッテリー性能向上が頭打ちとなり、追加充電ニーズが高まった」等、事業環境に追い風が吹いてきたサインが見えるまでエントリーを控える形です。また、株価面でも明らかに割安(例えばPERがさらに低下し5倍程度になる、PBRが1倍割れになる等)と判断できる水準や、チャート上の長期的な支持線(例:上場来安値の1,157円近辺)まで下落してきたタイミングで初めて慎重に買いを検討する、といったアプローチが考えられます。それまでは資金を温存し、他の確度の高い投資機会に振り向けても良いでしょう。様子見スタンスのメリットは、不透明な状況でリスクを取らずに済むことです。機会損失というデメリットはありますが、「わからないときは何もしない」も相場で生き残る秘訣です。
以上、インフォリッチ株に対する複数の戦略パターンを述べました。総括すると、現状のインフォリッチはファンダメンタル面・テクニカル面ともに決定打に欠け、方向感が掴みにくい局面です。そのため、自身の投資スタンスに応じて「攻めるにせよ守るにせよルールを明確に決めて臨む」ことが重要になります。例えば、長期で攻めるなら事業成長を信じて割安な今に賭ける、一方で守りを重視するならトレンド転換まで待つか他の銘柄に注力するといった判断です。いずれにせよ、信用買い残の多さによる需給リスクや、スマホ・バッテリー業界の技術トレンドなど外部要因の変化には引き続き注意が必要です。インフォリッチは話題性がありボラティリティも高いため、今後何らかの材料で再び脚光を浴びる可能性もあります。そのチャンスをものにするためにも、日々のニュースや業績発表、株価動向にアンテナを張りつつ、自分なりの戦略とルールに基づいて対応していくことが、当銘柄と付き合う上でのポイントとなるでしょう。
(ご参考): 株式市場は常に変化し続けます。本レポートで述べたことも、今後の情勢次第で大きく状況が変わる可能性があります。インフォリッチ株への投資を検討される際は、最新の開示情報やマーケット動向を確認しつつ、あくまで自己責任・自己判断で戦略を立てるようお願いいたします。幸いにもインフォリッチは個人投資家の注目度が高く、掲示板やSNS上でも多くの意見交換が行われています。そうした声にも耳を傾けつつ、本記事の分析がお役に立てば幸いです。

