【下落率99.999%超え?】創建エースの不祥事と株価暴落:特別調査委報告を巡る分析レポート

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創建エース(証券コード1757、東証スタンダード上場)は、2025年夏に企業不祥事の渦中に入りました。2025年6月末に公表された特別調査委員会報告書によると、同社グループは2021年9月~2023年6月の期間に経済的実態の伴わない売上を大量に計上しており、その結果、2022~2024年3月期の連結累計売上高約87億円のうち約73億9,094万円(約84.7%)が架空売上であったと判明しました。これらの架空売上を取消すと、当初報告された利益は黒字から赤字に転じ、投資家を誤認させる粉飾決算となっていました。東京証券取引所は同年8月にこの事実を受け、創建エース株を整理銘柄指定とし、上場廃止を決定しています。以下では、調査報告書が明らかにした不正の構造、株価変動の主要イベント(日足ベース)、および2002年頃のピークからの下落率(月足ベース)を中心にまとめます。

特別調査委員会報告書の要点と問題構造

調査報告書は、対象期間中に実態のない取引が繰り返されていたことを明確に示しています。具体的には、ある建設会社(以下「A社」とする)の案件で、子会社2社(巧栄ビルド、メディカルサポートなど)が下請契約を装って工程を発注・請負し、最終的にA社と関連企業B社との間で資金循環スキームが行われていました。しかし、実際には工事は実施されておらず、名目上の契約書や作業報告書、写真が作成されていただけでした。そのため、これらの売上高は「経済実態を反映しない」ものとして、取消しが必要と判断されました。
調査で明らかになった主な事実・構造は以下の通りです:

  • 巨額の架空売上:調査対象期間のうち、取消対象となった売上高は約7,390,942千円(約73.9億円)に達し、これは対象期間の連結売上高の約95%に相当します。言い換えれば、大半の売上が虚偽であったという驚愕の結果でした。
  • 架空取引の手口:A社とA社系列のB社の事案では、巧栄ビルド等が“資金供与”を受け、B社への資金回収を行う名目で工事を請けた形にしていました。実際には工事がなく、A→子会社→Bへの資金移動が契約フローとして回されていただけです。このような架空取引スキームが、子会社2社の経理上の売上・原価計上を通じて隠蔽されていました。
  • 経営陣の認識不足と内部統制の欠如:旧経営陣はA社案件について十分な検討・準備をせず、取引先の工事遂行能力や法令遵守のリスクを考慮しないまま、売上の拡大だけを追求しました。建設業法や品質管理、社内体制の整備といった法令遵守の検討を怠り、しかも社内での情報共有やモニタリング体制も不十分でした。その結果、本来は防止・発見されるべき架空取引が見逃され、大量の不適切会計が発生するという致命的な内部統制欠如に繋がっています。

以上のように、特別調査委員会は粉飾決算の構造を明らかにし、旧経営陣の責任と企業グループ全体のガバナンス不備を厳しく指摘しました。報告書は、公認会計士の監査を通じても架空売上が見逃されていた事実も指摘し、同社は過去の有価証券報告書・決算短信等を訂正する必要があると結論付けています。

株価変動の注目イベント(日足ベース)

この事件報道を受け、創建エース株価は2025年夏にかけて乱高下しました。主なニュースと株価反応(日次終値ベース)は以下の通りです。

  1. 2025年6月30日~7月2日:調査報告書受領公表が行われました。6月30日には報告書受領が発表され、翌7月1日には株価が急落(前日比‐12.5%)し21円から約18円に低下。さらに7月2日には続落し、終値は12円まで(前日比‐42.9%)下落しました。
  2. 2025年8月7日:訂正報告書提出の公表が報じられ、一時的に株価は急騰しました。8月7日は前日比+14.3%の大幅高で終値16円。しかし安心ムードは長続きせず、翌営業日以降は反落しました。
  3. 2025年8月18日~19日:東京証券取引所から上場廃止(整理銘柄指定)の決定通知が出され、株価はさらに大幅下落しました。8月18日は寄り付きこそ14円(前日比+7.7%)まで上げましたが、市場に上場廃止が伝わった翌19日は一転して暴落。株価は前日終値14円→終値5円と前日比‐64.3%を記録しました。
  4. 2025年8月20日:上場廃止決定後の追加売りで株価は3円に急落(前日比‐40.0%)。この間、株価はわずか数日で数十円から数円にまで暴落しました。

これらの急落シーンは、いずれも調査委報告や取引所発表などネガティブサプライズに連動しており、日々のニュースに敏感に反応していることがわかります。

2002年ピークからの長期下落率(月足ベース)

創建エース株はバブル期に驚異的な高値を記録していました。例えば、2002年12月16日の終値は663円(分割前の調整後終値5,434,430円)に達しており、1株あたり約543万円という異常値を示していました。この頃は建設業ブームも重なり、株価は5桁〜6桁に達していたのです。しかしその後、株式分割や業績悪化を経て株価は天井から暴落。2025年8月20日の終値は3円まで下落し、2002年ピーク時から実質で99.999%超の暴落(こちらのリンク(SBI証券)でそのチャートを見ることができます。)となっています。

長期チャート(月足)で見ると、2000年代前半の高値圏から現在までの下落率は圧倒的です。たとえば2003年には分割調整後で40万円超の株価が付いていましたが、その後は一貫して下降トレンド。2000年代後半以降は数百円→数十円、2010年代にさらに数円へと下がり、2025年にはほぼ紙くず同然の水準です。2002年の頂点から現在の数円台まで、株価は文字通り100分の1万以下に暴落しており、こうした長期的下落率は極めて異例のものと言えます。

会社の対応と再発防止策

創建エースは報告書受領後、速やかに対策を発表しました。2025年8月7日には訂正報告書を関東財務局に提出し、内部統制報告書でも「開示すべき重要な不備」があったと認めています。実際、6月30日の報告受領を受けて「経済実態を反映しない売上高」があったことが確認され、会計監査人の指摘に基づき過去の有価証券報告書・決算短信等について修正申請を行いました。監査法人からは最終的に無限定適正意見を得ていますが、会社は「重要な不備」を認識しており、訂正報告書提出でその旨を開示しています。

新経営体制のもと、同社は再発防止に向けた具体策も明示しています。報告書や監査法人の指摘に沿って、内部統制の再構築とコンプライアンス強化を宣言しました。例えば、外部弁護士を交えた法令遵守研修を実施するほか、管理本部主導で子会社業務の把握・分析体制を再整備し、情報の受け渡しや承認フローを厳格化するとしています。加えて、内部通報制度の周知徹底や内部監査室の連携強化なども講じ、リスク検出力とガバナンス機能の強化を目指しています。

これらの対策は調査報告書の提言を踏まえたもので、創建エース側は「重要な内部統制上の不備を是正するため、指摘された改善策を実行して適正な運用を図る」としています。しかし一連の不祥事で傷ついた投資家の信頼は容易には回復せず、東証スタンダード上場維持は困難と判断された結果、同社株は整理銘柄に指定され上場廃止が決定しました。今後は再生をかけた企業体質の立て直しと、かつての栄光をどこまで取り戻せるかが問われています。

まとめ: 創建エースのケースは、架空売上の粉飾事件がいかに企業価値を蝕むかを示す典型例です。特別調査委員会が暴いた経緯と問題点、株価急落のインパクトは、企業不祥事の深刻さを如実に物語っています。投資家には、同社の過去・現在の動きを注視するとともに、不適切会計が将来に及ぼすリスクを改めて学ぶ機会になったと言えるでしょう。